散歩シリーズ
西の俵屋 東のあさば
19.06.11
たまには、
歩数や時間を気にせず、
東京を離れて散歩をしよう。
「そうだ京都へ行こうか!」と、
ちょっと思ったけど、
妻の直感は、
修善寺の「あさば」を指していた。
これは後で知った事だけれど、
ある人たちの間では
「西の俵屋、東のあさば」
と言われているらしい。
これも後で感じたことだけれど、
私たちの間でそこは
「こちらとあちらをつなぐ架け橋」
と感じている。
部屋からは池越しに見える能舞台、
その前に白鷺が舞い降りる。
ここは本当に現代の日本なのだろうか?
部屋の名は「野宮」、
光源氏にまつわる能の演目らしい。
だからなのか、
どうやら私たちは、
向こうの世界で一泊してきたらしい。
それ以来、
心に花が咲いたかのように感じる。
そういえば、
俵屋でも「それ」があった、
20年前のことだ。
サイトで点数の高い宿なら他にもある。
料理や、広さや、豪華さなら、
点数化しやすいのだろう。
けれども、
その切り口では、見えないものがある。
その尺度では、測れないものがある。
「花は、点をつけるそばから消えるものよ」と、
白鷺の姿をした世阿弥が、
笑いながら松の前で能を舞う幻を見た。